潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎
主に大腸の粘膜と粘膜下層にびまん性にびらんや潰瘍を形成する慢性炎症性疾患です。直腸から上行性に病変が広がり、寛解と再燃を繰り返します。潰瘍性大腸炎は、日本で増加傾向にあります。原因は不明ですが、免疫異常の関与が考えられています。
自覚症状としては、月単位で続く血便や下痢が多く、重症化すると発熱や体重減少、腹痛を伴うことがあります。放置することで、重症化する場合がありますので、上記の症状が出た場合は、早めにご相談ください。
大腸カメラで炎症の状態や範囲を調べます。さらに組織を採取して顕微鏡で炎症の詳細を調べて診断を行います。
軽症例では5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤の経口薬または5-ASA局所製剤の併用で寛解導入ができます。中等症や5-ASA製剤で効果が不十分な症例ではステロイドを使用します。ステロイドで効果不十分な症例や中等症以上では、血球成分除去療法、免疫調整薬、抗TNF-α抗体薬などを使用します。潰瘍性大腸炎の治療方法は、患者様の炎症の状態により多岐にわたるため、専門医での診療が望まれます。
基本のお薬をやめると再燃することが多い病気ですので、薬剤を継続して症状と炎症が落ち着いている寛解期を継続することが大事です。そういう点で、根治は難しい疾患ではありますが、寛解期を維持すれば普通の生活は可能です。
炎症を背景にがん化することがありますので、定期的に大腸カメラを受けましょう。
2021年に発表された超加工食品と潰瘍性大腸炎の発生を検討した論文では、ソフトドリンク、精製甘味料入り食品、塩分の多いスナック菓子、加工肉など、超加工食品を多く摂取するほど潰瘍性大腸炎の発症リスクが高くなることが示されました。1食/日未満と比較して、5食/日以上では1.82倍に、1食/日以上では1.67倍に発症リスクが上がります。大腸関連の病気を予防するためには、超加工食品を過度に摂りすぎないようすることが求められます。