肝炎と肝硬変|山下消化器内科|吹田市の胃腸内科・内視鏡内科

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肝炎と肝硬変

肝炎と肝硬変|山下消化器内科|吹田市の胃腸内科・内視鏡内科

肝炎とは?

肝炎とは、肝臓に炎症が生じることで肝臓の細胞が破壊され、肝機能が低下する病気のことです。原因はウイルス感染や薬の副作用、アルコールや高カロリーな食事の取りすぎといった好ましくない生活習慣、免疫機能の異常など多岐にわたります。また、肝炎は急激に炎症が生じて肝臓の機能が低下する“急性肝炎”と、弱い炎症が長期間続くことで肝臓の機能が徐々に低下していく“慢性肝炎”の2つに大きく分けられます。
肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれており、進行するまで自覚症状がない事もあります。肝臓に炎症が生じた状態を放っておくと肝硬変や肝臓癌に進行することがあるため注意が必要です。軽度な肝炎では症状がないことが多いため、健診の採血で肝炎を指摘された時には原因の検索と、原因への対応が必要になりますので、かかりつけ医の相談してください。

肝炎の原因は?

肝炎ウイルスにはA~E型があり、主にA型とE型は生肉や魚介類、汚染された水などを介して感染し、急性肝炎を引き起こします。一方、B型とC型は血液や体液を介して感染し、慢性肝炎になりやすいのが特徴です。そのほかにも、EBウイルスやサイトメガロウイルスなどが原因で肝炎を発症することもあります。

日常的に大量に飲酒していると、肝臓に脂肪が蓄積されることで炎症が引き起こされることがあります。一方で、多量に飲酒をしない場合であっても、食生活の乱れや運動不足などによって肝臓に脂肪が蓄積する“脂肪肝”の状態になると、肝臓に炎症を起こすケースも少なくありません。

薬や薬が代謝される過程で生じた物質が肝臓にダメージを与えることや、薬に対するアレルギー反応により肝臓に炎症を引き起こすことがあります。

自分の肝臓の細胞を“異物”とみなして免疫の作用で攻撃してしまうことで、肝炎を発症することがあります。このような肝炎を“自己免疫性肝炎”と呼びます。

肝炎の症状は?

ウイルス感染による急性肝炎は、急激に炎症が生じて肝臓の機能が低下するため、全身倦怠感、食欲低下、吐き気、発熱、黄疸などの症状が現れやすいことが特徴です。一方、慢性肝炎の場合は軽度な炎症が長期間続いているものの急性肝炎のような症状は現れにくいことも少なくありません。

肝炎の検査は?

肝臓の機能、ウイルス感染の有無、自己抗体などを調べるために血液検査が必要となります。薬剤アレルギーが疑われるときは薬剤との免疫反応を調べます。

肝炎の治療は?

肝炎の治療方法は急性か、慢性かによって大きく異なります。
急性肝炎の多くは、重症化しない限り安静にして肝臓への血流を増加させること、タンパク質制限などの肝臓に負担がかからない食事制限、点滴などの治療をすることで自然に改善していきます。しかし、炎症が強い場合にはステロイド薬を投与したり、B型肝炎やC型肝炎の場合は抗ウイルス剤の投与が行われたりすることもあります。
一方、慢性肝炎の治療は、食事療法や運動療法などのほか、肝臓の細胞を守る肝庇護薬や抗ウイルス薬などによる薬物療法が行われます。
薬の副作用による肝炎では原因薬の中断、自己免疫性肝炎ではステロイドや免疫抑制剤などの投与が必要となります。
慢性肝炎を放置していると肝硬変や肝臓癌になる可能性が高くなりますので、適切な処置が必要です。

肝硬変とは?

肝硬変は慢性肝炎が進行することによって発症します。長期間にわたって慢性的な炎症が生じることで、肝臓の細胞は破壊され、その部位に硬い組織が蓄積していくため肝臓が全体的に小さく硬くなります。
肝硬変を予防するには、慢性肝炎の段階で適切な治療を行うことが大切であり、そのためには定期的な検診や肝炎ウイルス検診などを受けることが推奨されています。

肝硬変の症状は?

肝臓はアルコールや薬剤など体内に取り入れられたさまざまな物質の解毒を行うほか、出血を止める凝固因子、血液中の浸透圧を調節するアルブミン、消化吸収を助ける胆汁の産生などを行っています。そのため、肝臓の機能が低下すると、体内で産生されたビリルビン色素の胆汁中へ排泄が低下することで黄疸や出血しやすさといった症状が見られるようになります。また、アルブミンが減少することで体内に水分が溜まりやすくなり、腹水が生じるようになります。
肝臓の組織内で血液が流れにくくなるため、本来肝臓に流れるはずだった大量の血液がほかの血管に流れることになります。その結果、食道や胃の静脈に過度な負担がかかって瘤が形成される胃静脈瘤や食道静脈瘤を発症しやすくなり、破裂すると大量出血で死に至ることも少なくありません。また、体内で産生されたアンモニアなどの有害物質が肝臓で十分に処理できなくなると、意識の混濁などを引き起こす肝性脳症を併発することもあります。

肝硬変の治療は?

肝硬変と診断された場合は、その原因を調べ、その原疾患に対する治療を行うことがもっとも重要です。ウイルス性肝炎であれば抗ウイルス剤を使用し、アルコール性であれば断酒することが大事です。
肝硬変に対する一般的治療として食事・運動・睡眠などの基本的な生活習慣を整えることが必要です。そして、肝硬変を発症するとたんぱく質の基となるアミノ酸の一種である分枝鎖アミノ酸が不足するため、それらを補う治療が行われます。肝機能の改善を目的に亜鉛製剤やカルニチン製剤の投与が行われることもあります。また、腹水がある場合は利尿薬などそれぞれの症状に合わせた治療が行われます。