膵のう胞性病変
膵のう胞性病変
膵のう胞とは、膵臓にできる「液体のたまり」のことで、症状はなく超音波検査やCTなどにより偶然見つかることの多い病気です。
膵炎に伴ってできる良性ののう胞もありますが、一方で、膵液が流れる膵管の粘膜に粘液を作る腫瘍細胞ができ、粘液が溜まることでできる腫瘍性膵のう胞があります。
腫瘍性膵のう胞には、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性のう胞腫瘍(MCN)、漿液性のう胞腫瘍(SCN)などがあります。腫瘍性のう胞の中ではIPMNが最も多いです。
膵炎に伴うのう胞では、膵炎に似た症状を伴うことがありますが、腫瘍性のう胞では無症状であることが多いです。ただし、腫瘍が増大すると腹部不快感や膵炎を伴うことがあります。
膵のう胞は、偶発的に超音波検査にて指摘されることがあります。サイズが比較的小さいものは基本的には経過観察となりますが、時間を置いて複数回に渡り超音波検査を行い、サイズや形態の変化がないか慎重に経過をみる必要があります。
サイズが大きいものや、のう胞内に結節(しこりのようなもの)が疑われる時には、CT検査やMRI検査(MRCP)、超音波内視鏡など、より詳細に評価するための画像検査を行うこともあります。
膵炎に伴うのう胞は、膵炎の治療を行います。それでもサイズが大きくなったり、のう胞内に細菌感染を伴う場合には、内視鏡などを使用してのう胞内液の排液を行うことがあります。
IPMNではのう胞の場所が主膵管(膵液が流れるメインの管)か分枝(主膵管から枝分かれした細い管)かによって対応が異なります。診断時に主膵管型は約70%が悪性と言われていますので、主膵管型IPMNでは外科的手術を考えます。
一方、分枝型IPMNでは経過を含めて慎重に判断します。分枝膵管型IPMNでがん化の可能性が高く、手術を強く勧めるサインとしては「主膵管径が10mm以上」,「黄疸の症状がある」,「画像検査でのう胞内に造影される(血流のある)結節」がある場合です。