食道がん
食道がん
食道の扁平上皮ががん化する病気です。食道は胃や大腸と比べ壁が薄いため、がんが浸潤しやすく比較的早期からリンパ節転移を起こしやすいと言われています。そのため食道がんは早期発見と早期治療が求められます。食道がんのリスク因子として喫煙、アルコール摂取(少量のお酒で顔が紅くなる方は要注意です)、熱い食事を好む方、Barrett食道が挙げられます。症状として胸のつまり感、胸がしみる感じなどがあります。がんが周囲の臓器や神経に浸潤すると、食事中のむせや咳き込み、嗄声(声枯れ)なども現れます。ただし、早期がんはほとんどが無症状ですので、無症状でも定期的に胃カメラをすることが早期発見のコツになります。
喫煙や飲酒をする方、逆流性食道炎の方は定期的な胃カメラをおすすめします。
胃カメラ中に喉を動かしますと(嚥下)、食道が動いてしまうため、観察条件が悪くなります。そこで、検査中の嚥下をできるだけ抑えるために、鎮静剤を使用しての観察が非常に有用です。当院では鎮静剤を使用し、かつ細経内視鏡を使用していますので、検査中の嚥下が少なく、食道の観察を丁寧に行っています。
がんが食道上皮の浅い部分に止まっており、かつリンパ節転移がない患者様には内視鏡的切除で根治が可能です。がんが深い患者様には外科的切除や放射線化学療法、またはそれらの組み合わせ(「集学的治療」と言います)が選択されます。食道がんは、内科・外科・放射線科が協力し、高度な治療が求められますので、当院では大阪大学附属病院や大阪国際がんセンターなどのハイボリュームセンターと綿密な連携をとり、患者様のご紹介をしています。さらに、両施設が主催する勉強会には定期的に出席して意見交換をし、知識のアップデートもしています。
食道がんは再発が多い疾患ですので、根治後も引き続き当院での鎮静下内視鏡検査で厳重な経過観察を行います。